

最初に行うのが「自分探し」だ。自分の好きなもの、大切なものを、思いつくだけ用紙に書き出す。そして、その中からより自分らしいものを抽出し、四角い枠の中にカタチ(絵)にして表す。筆者が最終的に選んだのは、「文章を書く(ペン)」「人と人のつながり(握手)」「旅行(鳥)」。名前の一文字、「真(眞)」に、三つを組み合わせた。
自分ってどういう人?と最初は戸惑っていた参加者も、やがていくつもの言葉を紙に書き出していく様子が印象的だった。
これと似た手法は、カウンセリングでも活用されている。
「あるがままの自分とあるべき自分が離れすぎていると苦しい。これらを近づけ、自己肯定感を高める簡単な方法として、自分のいいところを30個書き出す方法を提案しています」
と話すのは、公認心理師の潮英子さんだ。
どんな些細(ささい)なことでも、無理やりひねり出してもOK。その中から特にいいと思うことを選び、アクションを起こす。例えば「指がきれい」なら、「ハンドクリームでもっときれいにしようかな」といった感じだ。
「寝る前に今日の良かったことを三つ挙げて書き出すのもおすすめ。忘れないでほしいのは、自分の肯定。何かあっても大丈夫とフォローする」(潮さん)
■助言はせずに共感だけ
まさにそれを具現化したのが、ノートセラピスト・こはらみきさんの「お姫さま練習ノート」だ。こはらさんはノートで自分を根本から変化させる「大人女子の学校」を主宰し、「お姫さま練習ノート」と名付けたノートのつづり方を伝えている。

「最大の特徴が、常に絶対的な味方である『執事さん』です。私自身、ノートに感情を吐き出しても理想の自分に変われないと苦しい時期がありました。その時にただ書きさえすればいいのではないと気づいたのです。どんな感情にも共感し、寄り添う『執事さん』の存在が重要だと」(こはらさん)
まず、「ムカつく」「仕事嫌だ」などと心の中の感情をそのままに書き出す。それに対し「執事さん」の気持ちになって「そうだよね」「すごくわかるよ」と書き加える。「執事さん」はアドバイスはせず、共感だけ。最後に「本当はどうしたい?」という、本当の望みを掘り起こす質問を投げかける。リアルな相談相手より、自分にとってドンピシャな言葉をかけられるのは自分だけだ。「吐き出す自分」と「受け止める自分(執事さん)」は一人二役であるわけだが、そのやりとりが「一人で抱え込まない」にもつながる。