残念ながらノーアーチに終わったが、3番を打った清宮は、20打数10安打10打点の活躍で5年ぶりの甲子園出場に貢献。ビッグマウスは「注目されてナンボだと思っています」という清宮流の自己啓発法だった。

 甲子園でも、1回戦の今治西戦で4打席目に甲子園初安打となるダメ押しタイムリーを放った清宮だったが、「1本くらい出なきゃダメです」と不満そう。

 そして、3回戦の東海大甲府戦で待望の甲子園初アーチが飛び出すと、「自分はまだまだこんなもんじゃない」とさらなる飛躍を誓った。

「甲子園ではホームランを期待されているので、打てなければ意味がない」とまで言い切った清宮は、日本ハム入団時にもシーズン60本塁打を公約したが、プロ入り後、精彩を欠いているのはご存じのとおり。

「今まで日本にいないような走攻守すべてトップレベルの選手になりたい」と宣言した関東第一時代のオコエ瑠偉(楽天)もそうだが、継続して結果を出せなければ、風当たりがきつくなるのも、ビッグマウスの怖さである。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

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