馬場さんはハワイでは空港の税関はフリーパスだったし、アラモアナ・ショッピングセンターに行くといろいろな人から「ハイ! ババ!」と声を掛けられたりしているのを見て「馬場さん、ハワイでも顔だな!」と驚いたもんだよ。俺も馬場さんのハワイ好きに影響を受けたし、全日本プロレスを辞めた後も、全日本がハワイ旅行したと聞けば「WARもハワイに行くぞ!」と張り合ったりもしていた。
張り合ったといえば、SWSに移籍した後、女房が買ってくれたベンツ560SECの思い出もある。ある日、その車に乗っていたら全日本プロレスの移動バスを見つけたんだ。俺は全日本のヤツらにお気に入りのベンツを「どうだ!」と見せつけてやろうと思って、わざわざバスを追い越して前をゆっくり走ってやったんだよ。ただ、バスの車内の座席からは前の車は見えなくて誰も気づかないし、バスの運転手にクラクション鳴らされただけだった。いやあ、あの時は失敗したね(笑)。
それから馬場さんといえば、ここぞというときにつけていたロレックス・デイデイトも印象的だった。プラチナケースにダイヤが入った時計でね、初めて見たときはすごくいいなと思ったよ。実は俺もずいぶん後に同じ時計を買ったんだ。馬場さんは1ドル360円の時代に買ったものだと思うけど、俺が買ったときは1ドル180円の時。それでも400~500万円だったから、馬場さんのは1千万円近くしただろうね。
その時計は、パーティーなんかの時によく身につけていたし、海外からゲストや交渉人、初対面の人と会うときもつけていた。馬場さんは靴と時計は誰にも負けない格好をしていたと思うよ。海外でトップを張っていたから、どうすれば相手の優位に立てるか、一目置かれるかを知っていたんだ。海外からの客はキャピトル東急ホテル(現ザ・キャピトルホテル東急)に呼んでね、自分はビシっとスーツを着て、葉巻を吸ってどっしり構えて出迎えるんだ。