英樹の中では決めれば銅メダルという18番(パー4)のバーディーパットが外れたときに、若干力尽きちゃったのかなという気がしましたね。銅メダルをかけて異例の7人でのプレーオフになりましたけど、あとから「プレーオフの体力が残ってませんでした」って言ってました。
最後に日本チームのみんなで集まったときに「丸山さん、メダル取れなくてすいませんでした」って、明るく言ってくれたのは救いだったかなという気がします。重苦しい雰囲気のままだったら僕もかける言葉がなかったんですけど、明るく言ってアメリカに帰ってくれたのが、翌週の試合の2位につながったような気がします。
最終日にスコアを10も伸ばして銀メダルをとったスロバキアの45歳、ロリー・サバティーニには驚かされました。僕を見かけては「日本のバッジをくれ」だの「ヒデキにサインを頼んでくれ」だの、ふざけたことばかり言ってきてました。「お前、注文多いな!」って。
ここでは書けないような言葉を「日本語で何て言うんだ?」って聞いてくるから「ふざけんな、って言うんだ」ってウソで教えてやったら、次の日から僕や英樹のところに来ては「フザケンナ」って。そんな感じでリラックスしたのがよかったのかな。最終日の61は大したもんですよ。
台湾の潘政琮(29)の銅メダルにもビックリです。あの時点で世界ランキング208位だった男が、前代未聞の7人プレーオフを勝ち抜いちゃいました。これはこれでオリンピックのゴルフの歴史に残ったような戦いで、非常によかったと思いますね。
■プロからアマに 団体戦もやれば
星野はゴルフ競技の幕を開けるファーストショットを打ちました。それでなくても普段の数倍のプレッシャーを感じてるなってのは伝わってきてました。英樹がいるからまだ楽な立場だとこっちは思うんですけど、本人は想像以上に「これは重大だ」っていう代表のプレッシャーに苦しめられたのかなと。