余計なひと言を発したばかりに、場がシラケたことはありませんか? 逆に言われて嫌な思いをしたこともあるでしょう。なぜ人は言わなくてもいいことを言ってしまうのか……。
【図で確認】「余計なひと言」を好かれるセリフに言い換えてみると
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定年後も嘱託として働く60代の男性が、夕食後にテレビを眺めていたときのことだ。ソファでスマホのニュースを見ていた妻が、大声を上げた。
「えー、大変よ。あなたと同じ年のあの映画監督。昨日、病気で急死したんだって!」
……と言われたところで知り合いでもないし、「ふーん」としか言いようがなかったが、とりあえずこう返す夫。
「同い年が亡くなるニュースは嫌なもんだって、死んだじいちゃんがよく言ってたな」
すると妻はこう言い放った。
「あなたは心配ないわよ。この監督、あなたと違って、東大卒だもの」
いったい急死と東大卒に何の関係があるのか。余計なひと言に反論しようとしたが、これまた余計なひと言の上塗りになることを案じて、言葉をのみ込む夫だった。
というわけで「余計なひと言」とは、言わなくてもいいことをわざわざ言って、場の空気を凍てつかせたり、相手に嫌な思いをさせたりしてしまうセリフのことを言う。
さまざまな「○○ハラスメント」への注意喚起が叫ばれ、言葉を慎重に選ぶ人が増えているはずだが、いまだにこうした「余計なひと言」は世の中にあふれている。週刊朝日がおこなった「余計なひと言」アンケートなどにも、さまざまなエピソードが寄せられた。
「天然系のため、思ったことをすぐに口にしてしまうクセがある」という40代男性は、「沈黙が怖くて、間を埋めるために焦ってしゃべってしまう」と自己分析する。ただ、「そういうときはたいてい失言をしていることが多い」とか。
「例えば学生時代、大学2年から入ったサークルでのことです。入学時に入った部員たちはすっかり人間関係ができていて、自分だけが疎外感があった。ある日酔った勢いもあって、飲み会の席で『お前ら、閉鎖的なんだよ』と、余計なひと言を言ってしまい……。その後半年ほど、誰も口をきいてくれませんでした」