また、余計なひと言が積もり積もって、上司のパワハラとして受け取られたり、はたまたご近所やママ友などのコミュニティーからはじき出されたり。「あの人、いつもひと言多いよね(笑)」では済まされない、人間関係の深刻なトラブルにつながることも少なくないという。
だからといって、トラブルを避けて、無口な人になってしまっては意味がない。
「今はハラスメントの問題もあって、余計なひと言どころか、他人と関わらないようにしている人も増えている印象です。ただし関わりがなくなると、逆に人間関係が悪くなると私は思っていますし、実際に会話がない職場は、ハラスメントが起こりやすいという実感もある。トラブルを避けようと言葉をのみ込んでしまうのは、余計なひと言の防止法にはなりません」
そうならないために、まずは、無意識に余計なひと言を発してしまわないように、自身の気持ちを、考えなしに発しないのは鉄則。とくにこんな言葉は、さらなる精査が必要になりそうだ。
「トラブルを起こしがちな言葉を、私は4Hと呼んでいます。否定、批判、非難、比較の四つです。これに分類される言葉は、余計なひと言になりやすいと思います」
ただし大野さんは、余計なひと言を言ってしまいがちな、もうひとつのタイプにも注目している。相手への気遣いから、本音をはっきり言わずオブラートに包み、かえって相手を嫌な気持ちにさせる余計なひと言を言ってしまう、けっこうやっかいなタイプだ。
「はっきり言えばいいことを、遠回しに言ったり、かと思えば相手を傷つけないようにやんわり伝えたり。または遠慮がちに言ってしまったことが、結局、余計なひと言になることは多いんです」
わかりやすい例が、何かのプレゼントをするときに、いまだに使う人がけっこういる、ザ・社交辞令といえるこの余計なひと言、「つまらないものですが(受け取ってください)」だ。
実は謙遜しているだけで、こう言って、本当につまらないものをプレゼントする人はいないが、それを知っているのは、もはや一部世代だけ。若い世代や、ましてや外国人に言ってしまった日には、「なんで、わざわざつまらないものをくれるんだ」と怒りだす人もいそうだ。