そもそも、被災者生活再建支援金が出ない災害もある。「被災者生活再建支援法」に適用されない規模の災害だ。この法律が適用されるには、10世帯以上の住宅が全壊などの基準がある。被災世帯が少ないときは、どんなに住宅が壊れようと被災者生活再建支援金は支給されない。 

 18年4月、雨も降っていなかった未明、大分県中津市耶馬渓(やばけい)町の山が崩れた。4棟が土砂に埋まり、6人が亡くなった。被災者生活再建支援法は適用されず、被災者生活再建支援金は出なかった。 

 土砂災害や竜巻はピンポイントで発生するが、被害は大きい。にもかかわらず、被災者生活再建支援金が出ない可能性があるのはなぜか。室崎名誉教授はこう説明する。 

「被災した世帯が少ないなら、自治体が独自に支援するという考え方が法律の根底にあります。なので、多くの都道府県は被災者生活再建支援法が適用されなかったときも、法律が適用されたときと同等の支援制度を用意しています」 

 大分の土砂崩れでも、県が被災者に最大300万円を支給する支援制度を使って全壊した世帯に300万円を支給した。 

■支援制度がない県も 

 ただ、内閣府によると、被災者に最大300万円を支給する制度を独自に設けている都道府県は28都府県にとどまる。現時点では支援制度がない県もある。 

 他に、代表的な支援制度と言えば、住宅を修理するための「応急修理制度」だ。台所やトイレなど、生活に最低限必要な場所を修理するときに使える。半壊以上なら修理に最大59万5千円使える。損害割合が10%台の準半壊の世帯は30万円を限度に修理できる。ただし、一部損壊、つまり床下浸水には支援はない。 

 これまで応急修理制度を使うと仮設住宅への入居が基本的にできなくなる問題があった。だが、20年から同制度と仮設住宅の入居を併用できるようになり、使い勝手のいい制度になった。(編集部・井上有紀子)

AERA 2022年11月28日号より抜粋

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