また、中規模半壊の住宅には最大計100万円の被災者生活再建支援金があるが、半壊以下への支給はゼロ円であることにも気をつけたい。半壊以下とは床上49センチ以下の浸水、もしくは地震などで29%以下の損害を負った住宅を指す。家財が壊れることもあるし、ぬれた床下や壁を掃除して補修しないと、後になってカビ臭さに悩まされることもある。
半壊以下に支援がない問題へ独自に対応する自治体もある。東京都は半壊の住宅に最大200万円を出している。埼玉県は半壊に同50万円を支給している。
被災者生活再建支援金に「上乗せ」する独自の支援金を支給するところも。東京都は中規模半壊に最大200万円を出している。被災者生活再建支援金より100万円以上手厚い。
■支援の内容に「格差」
新潟県は今年8月の記録的な大雨で住宅2千棟以上が被災した。県はこの豪雨に限って、全壊の場合は100万円を支給した。つまり、全壊の住宅を建て替える被災者は国や新潟県から計400万円を受け取ることができたのだ。宮崎県は最大20万円を上乗せしている。兵庫県は年間5千円の共済金を負担すれば、被災した住宅を再建するときに最大600万円が給付される「兵庫県住宅再建共済制度」を用意している。
内閣府によると、41都道府県が何らかの独自支援策を打ち出している。県としての制度はなくても、市町村がカバーしているところもある。
このように、災害によって自治体によって、受けられる支援の内容に「格差」がある。10月末にあった全国知事会の特別委員会で、こんな意見が出た。
「同一の災害により同程度の被害を受けているにもかかわらず、居住する市町村によって法による支援に格差が生じるという構造的な問題を抱えている」
室崎名誉教授も言う。
「財政難などを理由に、自治体によっては制度が手薄なところもあります。そうなると、被災しても、国からも自治体からも支援を受けられない人が出てしまいます」