「仲間としかしゃべらないし、お酒は飲まない。距離も保とうとする意識が皆にあった。消毒できる箇所がいっぱいあって、お酒が飲めない分、手でアルコールをいただきましたよ」
会場では1ステージごと、始まる前に立ち位置やマスク着用について必ず注意喚起をする。男性は会場で、「主催者側の徹底ぶりを感じた」と言う。
「突然大雨が降って雨宿りできそうなテントに入ろうとしたら、(密になるから)来ないでくださいってスタッフに言われたんです。結果的にずぶ濡れになりましたが、感染対策は徹底していたと思う。万が一感染が起きたら努力が水の泡になりますからね。主催者やスタッフ、演奏者たちからは、緊張感や背負っているものを感じた」
だが、一部の参加者によるノーマスク姿やマナー違反とみられる行動も取り上げられ、Twitterやテレビ番組を通して拡散。批判の矛先となった。この男性はこうした報道に強い違和感を覚えたという。
「ごく一部を狙い撃ちした、一方的な切り取り方だなと感じました。はめを外す機会なんてないですし、来た人同士で楽しみましょうといった大人しい雰囲気だった。もちろん、音楽が鳴ったら体を揺らしてリズムに乗るし、こぶしだって上げますが、楽しみながらもすごく気を使っていましたよ。会場内での様子と外に発信される情報とではギャップを感じました」
フェスの模様は、YouTubeでリアルタイムに配信された。その映像を見て「ステージ前が密なのでは?」と指摘する声も上がった。実際の会場では、周囲との間隔を保つために地面に立ち位置を表示する目印が施されていて、男性によれば現地での印象は「距離を保っていた」という。だが、映像を見る限りでは「密」に見えなくもない。
これについて、前出の鹿野氏は、
「流れていた映像では人が多く見えますが、実際に現地に立ったときの景色や距離感は、映像とは全く異なります。ステージからの映像だと50%の人数でも密集しているように見える。あの映し方では、見ている人が不安になるのもわかるし、誤解が生じる」
と指摘。その上でこうも言う。