井岡はこの試合を迎えるまで試練が続いていた。昨年末に田中恒成にKO勝ちしたが、体に塗ったファンデーションが薄れてタトゥーが露出したことで、日本ボクシングコミッション(JBC)から厳重注意処分を受けた。さらに試合後のドーピング検査で違法薬物成分が検出されたとして、警察から家宅捜索を受けるなど大きな騒動に。身の潔白が証明され、5月の記者会見では「僕の人生、家族の人生がこのまま終わっていくのかという不安があった。(JBC側の)いろんな不備だけで、謝罪だけで、終わらせて欲しくない」と訴えた。7月にJBCが謝罪して和解に至ったが心の傷が癒えたわけではない。

 苦難を乗り越えて今回の微妙な判定勝ちに、祝福の声で一色という状況ではない。だが、前に進むしかない。今後はIBF王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との統一戦を熱望している。32歳と残されたキャリアはそう長くないだけに、井岡の動向が注目される。(牧忠則)

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