平井伯昌(ひらい・のりまさ)/東京五輪競泳日本代表ヘッドコーチ
平井伯昌(ひらい・のりまさ)/東京五輪競泳日本代表ヘッドコーチ
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東京五輪男子200メートルバタフライ決勝で2位となり喜ぶ本多灯=7月28日 (c)朝日新聞社
東京五輪男子200メートルバタフライ決勝で2位となり喜ぶ本多灯=7月28日 (c)朝日新聞社

 かつて北島康介選手を指導し、先日の東京五輪でも日本競泳チームの活躍を支えた平井伯昌・競泳日本代表ヘッドコーチ。連載「金メダルへのコーチング」で選手を好成績へ導く、練習の裏側を明かす。第79回は、「競技以外の成長」について。

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 今回は競泳日本代表のヘッドコーチの立場で東京五輪を振り返ります。

 代表33人(男子17人、女子16人)のチームの目標として、「複数の金メダル」と「全員の決勝進出」を掲げました。

 獲得したメダルは金2個、銀1個。決勝に進んだのは延べ9種目でした。競技終了後の取材に対し、こう答えました。「『複数の金メダル』の目標は達成することができて、安心している。だが、『全員の決勝進出』という目標はまったく遠いものになった。安心と反省、両方の気持ちです」

 競泳チームの最大の目標は金メダルの獲得です。今回は直近の2019年世界選手権で男子個人メドレー2冠の瀬戸大也、男子200メートル自由形銀メダルの松元克央の2人が金メダル有力候補と考えていました。

 瀬戸は初日の400メートル個人メドレー予選で全体の9位、8人の決勝に進めませんでした。松元も200メートル自由形予選で全体の17位に終わり、準決勝進出を0秒02差で逃しました。

 今回と同様に午後に予選、午前に決勝があった08年北京五輪のときの経験などから、予選の記録が相当上がることは予想できていました。北京五輪を経験した私と主将の入江陵介が第1次合宿から話をしてきましたが、チーム全体に浸透していなかったことが反省点として残ります。

 決勝進出者が少なかった要因として、4月の選考会の後、五輪までの間にコンディションを上げられなかった選手が多かったことがあります。前回は五輪まで欧州グランプリなど海外の試合を転戦して調子を上げていく選手もいましたが、今回はコロナ禍で海外遠征は難しかった。ただ、6月のジャパンオープンを始め、関係者の協力を得て茨城県、長野県、神奈川県相模原市の大会などに代表選手が出場できました。ここで調子を上げた選手が本番で結果を出していました。

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