コロナ禍で女性の化粧品需要が落ちている一方で、男性向けは堅調に推移しているデータもある。株式会社インテージの調査によると、「男性の化粧品市場は2016年からの5年間で111%に伸長しており、2020年も前年比104%」(「インテージ 知る Gallery」2021年5月24日公開)と好調に推移しているようだ。

 成長が続くメンズコスメ市場。メンズメイクについて情報発信や企業・学校向けのセミナーなどを行う株式会社MBP.NEXT代表でヘアメイクアップアーティストの高橋弘樹さんは、「2018年が1つの転換期だった」と指摘する。

「2018年に、大手外資系コスメブランドのシャネルから、メンズ向けシリーズのボーイドゥシャネルが発売されました。また、同時期に国内ブランドのスリーからも、ファイブイズムバイスリーというメンズ向けブランドが立ち上がっています」

 化粧品業界に限らず、世界的に高まっている「ジェンダーフリー」の意識が影響しているようだ。

「メンズ美容を紹介するYoutuberなどインフルエンサーの活動も活発化して、メンズメイクという言葉が広く世間に認知され始めたという印象です」(高橋さん)
 
 しかし、最近は世代によって化粧に対する意識の内情はずいぶん異なるのだという。

「25歳くらいが境になっていると感じています。25歳より上の世代は、バレないメイクやコンプレックスを隠すメイクが主流です」(同)

 例えば、先に紹介した伊勢丹新宿店メンズ館では、客層のコア世代は40代。コスメに関しても、購入人数ベースでは35歳~44歳が最も割合が高い。

「伊勢丹新宿店メンズ館のお客様は、清潔感を出しつつもメイクをしていることがバレにくいコスメを求めていらっしゃる方が多いです」(前出の担当者)

 対して、25歳より下の世代では、メイクしていることを隠さない、むしろ楽しんでいるという。高橋さんは説明する。

「従来のメイクを始めるきっかけが、ニキビや肌荒れといった悩みをカバーしたいという動機なのに対し若い世代は、ニキビや肌荒れといった悩みをカバーしたいという動機から、コンプレックスカバーだけでなくメイクでなりたい姿に近づけるといったポジティブな動機に変わってきていています。韓国のアイドルや俳優みたいな、髪の毛はセンター分けで、色白、眉太め、唇の血色がいいというのが大きな流行りなので、そういうふうになりたくてメイクを始めるという人も多いですね」

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