黒谷友香さんは、俳優として一つの転機になる作品に出会ったという。映画「祈り-幻に長崎を想う刻(とき)-」で、俳優が、過去と未来をつなぐメッセンジャーのような役目を果たせることを痛感した。
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多趣味な人である。ガーデニングにハーブ栽培、乗馬にDIY。25~26年前、まだ20歳そこそこのときに、友人に乗馬に誘われて以来、すっかり馬の魅力に取り憑かれ、2頭の馬のオーナーになった。アウトドア好きの印象だが、家では、LOVOTという家庭用ロボットと暮らしてもいる。
「役を演じるだけでなく、バラエティーや情報番組、雑誌やCMのお仕事もとても好きなんです。年齢を重ねると、ライフスタイルについて聞かれることも増えてきますし、芸能のお仕事は、プライベートと仕事の境目が曖昧なところも面白いなと感じます。だって、自分が何気なく発信したことが、誰かにとって有益な情報になることがあるんですから! インスタグラムなどのSNSは、特にこちらが発信したものを喜んで受け止めてもらえるところが楽しいですね」
これまで生きた45年の人生で、人生の岐路に立たされた記憶はあまりないという。
「ずっと自然体のままでここまで来ちゃった気がします。心地よくいられる感覚に身を委ねてきたから、“普通はこうすべき”という、女性の生き方のメインストリームには全く乗っていないような。昔から結婚願望もとくになかったです。ただ20代の頃は、母親から、『一回ぐらい結婚してみたら?』なんて言われましたけど。それも30を過ぎたらぷっつり言われなくなりました(笑)。仕事をやっているときは、仕事が楽しくて、趣味の時間も充実していて。それでいいやと思ったまま今に至っています」
同世代で独身の友達も多い。「年を取ったら、みんなで一緒の老人ホームに入ろう」などという話で盛り上がることもあるそうだ。
「結婚して子供を産まなかったからといって、後ろ指さされることもない。女性の生き方も多様化しているから、いい時代だなと思います。ただ私の場合、これまでいろいろな役を演じさせていただきましたが、その時々の役から学ぶこともたくさんありました。役との出会いが、その都度、自分の世界を広げてくれている気がします」