杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』など。静岡市で少人数制塾「杉山塾」(http://fancynancy.jp/sugiyamajuku/)を運営中。ツイッターのアカウントは@suginat
杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』など。静岡市で少人数制塾「杉山塾」(http://fancynancy.jp/sugiyamajuku/)を運営中。ツイッターのアカウントは@suginat

■子どもは「自分がいじめられている」と伝えづらい

 子どもの心の中には、「自分がいじめられているなんて知られたくない」「親に心配をかけたくない」「プライドが傷つく、伝えたときの親の反応が怖い」など、いじめられている事実を伝えたくない多くの理由が存在するでしょう。

 特に思春期になればなるほど、親に「そういうこと」を話すのは、ハードルが高いものです。

 日常の中で、突然改まった形で、親に「真剣な話がある」と切り出すのは、相当な勇気と覚悟が必要になります。

 もし子どもの異変に気がついて、親のほうから聞いたとしても、ふざけたり、ごまかしたり、「いじめられていない」とウソをついたりしてしまうことだってあるのではないでしょうか。

 自分の子どもに対するいじめが発覚した際、親は、「どうしてもっと早く伝えてくれなかったのか」という気持ちになるでしょう。

 その気持ちは痛いほどわかります。

 でも、子ども側の気持ち、何度も何度も、「言いたいけれど、言いたくない」という、板挟みの葛藤に悩まされていたであろうことも、痛いほどわかるのです。

 されてきたことが悲惨な行為であればあるほど、「何をされたのか」なんて、自分の口から言えるものではないのです。

 つまり、「親にいじめのことを伝えられるよう、いかに子どもの精神的な負担を軽くするか」というのは、いじめを防ぐうえで、かなり重要な課題であると思います。

■リビングの上に一冊のノートを置いておく

 ここで、私の友人の家の話をさせてください。

 その子の家は、親が病気がちで、子どもが親に「心配をかけたくない」と思いやすい環境なのです。

 そこで親が、子どもとコミュニケーションをとるために、悩みがあるときに書くためのノートを、リビングに置くよう決めたのだそうです。私はこれが、いじめ問題に応用できるのではないかと思いました。

 親に「話をしよう」と決めるにも強い覚悟が必要ですし、自分が話したくない内容を一つひとつ言葉にしていくのは、相当に神経が削られる行為です。

 でも、ノートなら、そこまでタイミングを気にすることなく、自分のペースで書けるため、親に面と向かって話すよりも、ずっと精神的な負担が少なく、伝えるハードルが低くできるのではないかと思いました。

暮らしとモノ班 for promotion
大人も夢中!2024年アニメで話題になった作品を原作マンガでチェック
次のページ