自民党総裁選に名乗りを上げた高市早苗氏。女性の候補者が出たのは10年以上前の小池百合子氏以来だ。地方議会で高まる女性に期待するという機運が、高市氏の出馬の背景にあるのではと、超党派の「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」会長の中川正春元文部科学相は指摘する。
とはいえ、現状、政党の意識が変わっているとはいいがたい。
候補者の一定割合を女性に割り当てる「クオータ制」推進を訴える稲田朋美元防衛相はこう話す。
「日本の衆院議員のうち女性は約1割。自民党所属の衆院議員に限ると7%ほどとさらに下がります。自民党内には『政治は男性がやるもの』という意識がなお強い」
事実、クオータ制はなかなか実現しない。その理由について、中川氏は嘆息する。
「特に自民党の中に強力に反対する核になるグループがあって、女性議員にもクオータ制反対が少なからずいる。これまで男性と張り合い、自分の力で当選してきたのに、特別枠を設けたら自身の格が下がる、というような不平等感を感じるようです。そういう人たちを説得していくのはなかなか大変なんです」
国際的な議員交流団体「列国議会同盟」が3月にまとめた報告書によれば、日本の国会(衆院)で女性議員が占める割合は、データのある190カ国中、166位。主要7カ国(G7)で最下位だ。地方もいまだ例外ではなく、女性議員の割合は低い。
「女性が政治家として活躍していける環境が十分でない。さらに、女性が『政治家になりたい』と思えるようなロールモデルが見当たらないことも割合が増えない一因だと考えています」(稲田氏)
では、高市氏がそのロールモデルになれるのだろうか。三重大学の岩本美砂子教授(政治学)が解説する。
「高市さんはクオータ制について、女性に特別枠を与えて、げたをはかせるのは逆差別じゃないか、と反対していますし、夫婦別姓にも同性婚にも反対している。根本がアンチフェミニズム。旧来の保守的で男性支配の自民党に対して、操正しい。自身の信条に確信が強い“確信保守”なのです」