元自民党国会議員で閣僚経験のある男性は高市氏について、

「私が見ていた限りでは、彼女は党内での友人、仲間というのは少ない。安倍さんが支持したとはいえ、細田派内をまとめるなんてことなどできないよ。彼の本命は岸田氏だろうし。彼女への支持は党内全体でも20~30%いけばいいくらいだろう」

 と話す。「高市首相」が実現する可能性について聞くと、

「ゼロでしょ。まず本当に総裁になろうとしたら、何年もかけて準備していくもの。結局はそうやって、いわゆる党内基盤を固めて、支持をとりつけていかないと難しい」と語った。

 つまり、高市氏はまだスタートラインに立っただけで、真価が問われるのはここからという見方だ。高市氏は憧れの人物、目標とする政治家として、マーガレット・サッチャー元英首相を挙げているが、「彼女のような真の権力者にはなれないだろう」と岩本教授は手厳しい。

「サッチャーもフェミニストではないが、権力者だった。高市さんは安倍さんに引っ張ってもらうことが前提という時点で決定的に違います。仮に安倍さんが失脚して後ろ盾がなくなったときに化けられるのかどうか。派閥の領袖(りょうしゅう)でもない高市さんは、実力者の傀儡(かいらい)になる可能性が高く、権力を握るものとしては危うい」

 真の意味での女性首相誕生までの道のりは長いのか、どうか。(本誌・秦正理、池田正史)

週刊朝日  2021年9月24日号より抜粋

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