孫:だから今回の東京オリンピックで「昭和の開会式」を見せられて、みんながっかりしちゃった。でも、あれは「過去の日本の表現」としては素晴らしかった。あそこがダメ、ここがダメと批判して暗くなるんじゃなくて、「過去の日本の総決算」と受け止め、笑い飛ばしてしまいたい。で、一番かっこよかったのがスケートボード。
小笠原:そう、日本の選手がキックフリップ・インディー(大技の一つ)を決めようとして失敗した。そうしたら他国の選手が「もっといける」とあおって。競技を終えた日本の選手が戻ってくると、「よく頑張った」「かっこよかった」とたたえていました。メダルという結果より、オリンピックというプロセスを楽しむのが彼らのスタイル。そんな世代が主役の時代には、ビジネスもあんな風になっていくんだと思います。
(敬称略)(構成/ジャーナリスト・大西康之)
※AERA 2021年9月20日号より抜粋