日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「日本の隔離制限などの解除はいつになる?」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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「2週間の隔離がとても辛い。時差ぼけが全く治らないよ……」そう連絡があったのは、ポーランドに一時帰国していた友人が日本に帰ってきた後に自宅で自主隔離している最中でした。
ポーランドでは、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいたこともあるのでしょうか。マスクを着用する人を見かけることは滅多になかったようで、「もうコロナを忘れちゃったよ」とポーランドにいた彼女から電話がかかってきたこともありました。「家族が皆ワクチン接種を済ませていたから安心して旅行にも行くことができた。リフレッシュできた」と旅行先の写真と共に連絡が来たこともありました。
東京オリンピック・パラリンピックの影響か、なかなか飛行機のチケットが取れなかった彼女が帰国したのは、9月の初旬。ちょうどその頃、曇りや雨の日が続いた時が隔離期間と重なったこともあり、太陽の光を浴びることも外でのびのびすることもできなかった彼女は、ずっと昼夜逆転したままだったといいます。2週間の隔離生活を終え、先日彼女に会うことができましたが、「日本に帰ってきた途端に、マスクしている人をたくさん見て、またコロナを思い出したよ」と話す彼女の言葉を聞き、ワクチン接種が進む国と日本との空気感の違い政府の対応の違いを感じざるをえませんでした。
世界各国でワクチン接種が進む一方で、デルタ変異株が世界中で猛威を振るっています。そんな中でわかってきたのが、「ワクチンを接種すること」の意味です。
Kasen氏らの米国ウィスコンシン州での調査の結果、ワクチン接種を完了した人が新型コロナウイルスに感染したときのウイルス量と非接種者のウイルス量に違いはなく、デルタ変異株に感染したワクチン接種完了者から他の人へ感染が移行しうることがわかりました。また、Revat氏らによるインドの新型コロナウイルス感染患者205人を調べた結果から、ワクチン接種が完了していた人は、新型コロナウイルスに感染を免れなかったとしても重症は減ることが示唆されました。