西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏は、9月13日の中日‐ヤクルト戦の判定にはらむ問題点を指摘する。
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みなさんなら納得できますか? チャンスは2回。本来なら1回目の合格、不合格がわかってから、2回目を行うことができるものが、1回目の判定が遅れ、先に2回目を行うハメに。2回目の不合格の後に「1回目も不合格でした」と言われてしまった──。1回目の結果を受け、2回目を判断する。合格なら「次は大勝負」となるし、不合格なら「次は安全策で」と冷静な判断もできるはずだった。
そんなことが野球界で起きた。しかも九回、1点差で勝敗を決する大きなプレーとなった。9月13日の中日-ヤクルト戦(バンテリンドーム)。ヤクルトが1点を追う九回1死一、二塁、川端の二ゴロで一塁走者の西浦が二塁手・堂上のタッチをよける間に一塁はセーフ。この判定を嶋田哲也二塁塁審が確認できていなかったため、その後の西浦の二塁フォースアウトのジャッジもできず。そのままプレーが続き、まず二塁走者が三塁を回って三塁と本塁の間でアウトとなった。そこで2アウト目となり、プレーは一度止まったが、中日の与田剛監督のリクエスト後に、リプレー検証で二塁(一塁走者)のアウトが確認できたため、併殺で試合終了となった。
二塁塁審が二塁でのアウトをしっかり宣告していれば、二塁走者が三塁を回って本塁突入することは控えただろうし、なぜジャッジしてくれなかったのか、との思いは当然だ。ヤクルトの高津臣吾監督が約15分にわたって説明を求めるのもわかる。セ・リーグの杵渕和秀統括と友寄正人審判長は翌日、神宮球場を訪れ、高津監督ら関係者に謝罪した。
今回のケースは「見逃してアウト、セーフが判定できなかったから、リプレーを映像で確認してから、判断」した。その過程だけをとれば、致し方ないことである。問題は、そのアウト宣告が後付けだったこと。しっかりしたタイミングで行われていれば、三つ目のアウトとなるプレーは起こらなかったということだ。