石原さんはこう指摘する。映画やゲームなどメディアのコンテンツ制作やその基礎となるICT技術などを学べる科目が充実した大学が増えてきている。2007年に開設された立命館大学映像学部もその一つだ。
石原さんの注目は、東京工科大学のメディア学部だ。同学部は1999年に日本で初めて「メディア」を冠した情報系学部。大淵康成学部長は話す。
「本学部は前例がないところから、メディアを学問として学ぶには何が必要か、教員が一丸となって考え立ち上げました」
アニメーションやゲームの制作、音響関係で活躍している卒業生も多い。同大の特徴的なカリキュラムが「プロジェクト演習」だ。30のテーマから選択し1~3年生が一緒に研究活動をする。テーマは教員の専門分野に沿って定められ、実践的な学びを体験できる。一方で科目の総合成績が良い学生は、1年次後期から「先端メディア学」、2年次後期から「先端メディアゼミナール」を履修でき、研究室に所属し最先端の研究に携わる。
全学的なプログラムとして、人文・社会科目群や外国語科目群など、4領域を学ぶ「教養学環」を設けている。
「数年後にはいくつかの仕事がAIに奪われるといわれていますが、本学部はAIを使いこなす人材を育てていく。そのためには技術を高めるだけでなく、教養や芸術を幅広く学び、豊かな人間性を身につけることが重要なのです」(大淵学部長)
(教育ライター・柿崎明子)
※AERA 2021年9月27日号より抜粋