介護についての思いを語る「レギュラー」の2人(撮影/中西正男)
介護についての思いを語る「レギュラー」の2人(撮影/中西正男)

松本:やっぱりね、最初はすごく警戒されるというか。デリケートな部分もたくさんあるところですし、その難しさはすごく感じてきました。

 いきなり芸人が来て何をするのか。利用者さんをバカにするようなことにならないか。そういう部分で見られることもすごくありましたし、まだ僕らもやることが定まってないので普通に“あるある探検隊”のネタをやったりもしてました。それやったら普通の劇場出番と変わらんやんということもしてました。完全に手探りでしたね。

西川:17年にレクリエーション介護士2級の資格を取って、そこからさらに出力高くやらせてもらうようになったんですけど、徹底してきたのが“空気をつくる”ことなんです。

 僕らのレクリエーションは“間違ってもいい”ということを軸に作っているんです。間違えてもいい。失敗してもいい。その失敗がさらに楽しいことを作っていく。そんな流れになるように考えて構成しているんです。

松本:ただ、もちろん相手は芸人さんではないですし、すごくセンシティブな要素もあります。

 しかも、利用者さんたちは人生の大先輩ですし、間違えた人に「ハイ!残念でした~!」と僕らが言ったり、その間違いにツッコミを入れたりすることって、失礼になりかねない領域でもある。

 だからこそ大事なのが空気作りなんですけど、レクリエーションをやる前に「僕らは決して先生ではないんです。皆さん、いろいろ教えてください」というトーンで地元の名産品を教えてもらったり、あらゆる会話をさせてもらう。それが前説というか、その場の温度を上げることになるんです。

 それをしっかりとやっておくと、ツッコミを入れたりしても皆さん笑っていただける。あるいは、僕やったら「遺言に僕の名前も書いておいてくださいね!」みたいなことまで言ったりもするんですけど、それでも笑ってくださるんです。

西川:よく芸人さんが言う“いじめ”と“いじり”の違いというか、言うまでもなく“いじり”というのは圧倒的な愛があっての行為ですから。相手にプラスを与えるための一つの方法が“いじり”であって、愛がないと“いじり”も生まれない。そこを踏み外さないように心がけてやっていくと、多くの方が喜んでくださるのかなと思っています。

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介護を「アンタッチャブル」な存在にしたくない