AERA 2021年10月4日号より
AERA 2021年10月4日号より

「1時間に2回、5分間窓を開けます。冬が近づいて寒いかもしれませんが、窓は全開にしてください。ある程度の風があれば、大きく開けたほうが、たくさん空気を取り入れることができて効果的です」

 窓は対角線上に開けて、空気の通り道をつくるのがポイントだ。対角線上に窓がなければ、台所のレンジフードを稼働してみよう。2003年の改正建築基準法施行前にできた住宅は、24時間換気システムがない場合があるので、窓開け換気がより重要となる。

■室温は18度以上を保つ

 ただ、部屋が寒くなるほど換気するのは避けたい。厚労省は、冬場は換気をしながら室温18度以上、湿度40%以上を保つことを推奨している。呼吸器系のウイルスは低温や乾燥の環境に強い。

「ダイキン工業が今年検証したところ、冬場にエアコンをつけたまま窓開け換気をしたケースは、換気のたびにエアコンを切ったケースに比べて、電気代が1日あたり14.5円安くなりました。エアコンをつけたまま、換気していただきたいです」

 加湿するには、加湿器をつけたり、ぬれたバスタオルを干したり、やかんで湯を沸かしたりするといい。

 空気清浄機を置くのも効果がある。矢野医師が説明する。

「市販の空気清浄機には、小さな飛沫をキャッチするHEPAフィルターがついています。マスクを着用しない人がいる部屋で空気清浄機を稼働すると、エアロゾル濃度が減少したという研究結果が今年、CDC(米疾病対策センター)で報告されました。部屋のどこに置いてもいいのですが、部屋の中央に置いたとき、エアロゾル濃度が65%減りました。一方で、左右の高い場所では49%の減少でした」

 厚労省によると、9月1日時点で、新型コロナに感染して自宅で療養している人は全国で13万人を超えた。第6波に向けても家庭内感染の対策は必要だ。やむを得ず家族が自宅で療養する場合、療養室と他の家族が過ごす部屋とをドアで仕切ること。そのうえで、それぞれの部屋の換気をする。倉渕教授はこう語る。

「日本環境感染学会がまとめた『感染が疑われる人がいる場合の家族内での注意事項』がわかりやすい。ニュースでも『私はこうして家庭内感染を防いだ』とさまざまな方法が紹介されています。どれも効果的だと思いました」

(編集部・井上有紀子)

AERA 2021年10月4日号より抜粋