
新型コロナウイルスの感染者は全国的に減少傾向にあるが、油断はできない。感染防止には何より換気の徹底が重要だ。その方法を専門家に聞いた。AERA 2021年10月4日号から。
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新型コロナウイルスは感染力の強いデルタ株へほぼ置き換わっている。感染状況は全国的に改善傾向にあるものの、冬場の「第6波」の懸念が専門家から指摘される。対策はどうしたらいいのか。
浜松医療センター(静岡県浜松市)感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師は言う。
「デルタ株といっても、今までどおりの換気をしながら人と会うときは不織布マスクをぴったりとつければいいと思います」
東京理科大学の倉渕隆教授(空気調和・衛生工学会副会長)もこう話す。
「飛沫(ひまつ)感染、接触感染だけではなく、マイクロ飛沫感染ないしエアロゾル(ウイルスを含む微小な粒子)感染が重要な経路だとわかってきました。やはり換気が大事。昨年から言われている換気方法をより徹底しましょう」
換気を従来以上に強化しなくていいのだろうか。世界保健機関(WHO)の換気のロードマップも厚生労働省の指針も、デルタ株が蔓延(まんえん)する前に出されたものと変わっていない。
「3密の回避をはじめとする現在の換気対策の方針は、昨年の(集団感染が起きたクルーズ船)ダイヤモンド・プリンセス号の感染までのデータ分析がもとになっています。どうやら法的な換気量を満たさない場所で集団感染が起こった、という結論に達しました。そこで厚労省は建築物衛生法を参考にして、二酸化炭素(CO2)1千ppm(濃度0.1%)以下の空間は換気の悪い環境には当たらないとしました。その後、WHOなど世界も同様の換気基準の順守を推奨しています」(倉渕教授)
■24時間システムを活用
具体的な換気方法を確認しよう。ダイキン工業広報グループの重政周之(ちかし)さんに聞いた。
「住宅には基本的に24時間換気システムがあります。部屋にある丸形や四角形の給気口から空気を取り入れて、浴室やトイレの換気扇から排気します。このスイッチをオンにして最低限の換気量を確保しましょう」
部屋にいる人数が多い場合や、空気がよどんでいると感じたら窓開け換気が必要になる。