日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「今年のインフルエンザ予防接種」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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長かった緊急事態宣言が、ようやく解除されました。通勤電車は、コロナ前までの混雑具合とまでは行かずとも、座ることは格段に難しくなってきました。心なしか、夜間に電気がついているお店が増えて、道行く人の数も増えたような気がします。
「第5波」のピーク時は、発熱や風邪症状を主訴に受診される方がとても多く、実施したPCR検査の検体数が20を超える日が続きました。「いつかコロナになってしまうのではないか」と目に見えないウイルスに恐怖を感じることも多々ありました。幸い、現在に至るまで感染せずにすんでいます。言わずもがな、新型コロナウイルスのワクチン接種のおかげだと思います。
10月3日時点の新型コロナウイルスの新規感染者数は961人になりました。最もピークだった8月26日の2万4,950人から減り続けています。4月25日から発令された緊急事態宣言の効果だったのかどうか。飲食店の時短営業や、酒の提供中止、人流抑制など、本当に効果があったのか。国民に我慢を強いるだけの対策は非科学的です。緊急事態宣言の効果をしっかりと検証しないままであれば、歴史は繰り返されてしまうでしょう。
今はコロナの感染者数が激減している通り、外来の現場も、発熱や風邪症状を主訴に受診される方が8月のピーク時と比較すると格段に減っています。発熱や咳・咽頭痛などを認めている方に、PCR検査を検査しても、最近は陽性を見かけることがほとんどなく、「第5波」の収束を肌で感じます。冬になり、また昨年のように感染が増えることが予想されています。それまでに、コロナのワクチン接種がこのまま進み、ワクチン接種希望者が皆、2回の接種を終えることを願う毎日です。