「ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる」。そんな歌が収められていて、私は何度か読み返している。萩原は早稲田大学卒業後、非正規として働きながら歌を詠み、32歳で自死した。
「『滑走路』も、口語短歌としての評価と平成プロレタリア文学としての評価の間に、どうしてもズレが生じる」。山田さんはそう書いていた。
突然、腑に落ちた。「評価のズレ」なのだと。小室さんを叩く人たちは、「野心の果てに皇室を利用する母子」ととらえている。わかる。だけど、私は切ない。同時代を生きた女性だから、佳代さんが切ない。ズレてよし。そう思っている。(コラムニスト・矢部万紀子)
※週刊朝日 2021年10月15日号