「ぼくも非正規きみも非正規秋がきて牛丼屋にて牛丼食べる」。そんな歌が収められていて、私は何度か読み返している。萩原は早稲田大学卒業後、非正規として働きながら歌を詠み、32歳で自死した。


「『滑走路』も、口語短歌としての評価と平成プロレタリア文学としての評価の間に、どうしてもズレが生じる」。山田さんはそう書いていた。


 突然、腑に落ちた。「評価のズレ」なのだと。小室さんを叩く人たちは、「野心の果てに皇室を利用する母子」ととらえている。わかる。だけど、私は切ない。同時代を生きた女性だから、佳代さんが切ない。ズレてよし。そう思っている。(コラムニスト・矢部万紀子

週刊朝日  2021年10月15日号

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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