「不安に対する認識が大きく変わった」という先生もたくさんいます。プログラムを実践した小学校の先生からは「これまで道徳などで不安をネガティブに捉え、不安にならないようにという認識で学習を進めてきた。『勇者の旅』で、不安とうまくつき合っていくことがフラストレーションなく生きていける方法だと気づくことができた」という感想が寄せられました。「ストレスを感じたときは、プログラムで使用したワークブックを何度も読み返している」という先生も。子どもたちだけでなく先生自身の不安対処能力も着実に向上し、メンタルヘルスの増進につながっているようです。

 近年、不安の問題を含めた子どもの心の健康に関心を持つ先生は、着実に増えています。「勇者の旅」の指導者を養成するためのワークショップには、この春夏だけでも200人を超える先生たちが参加。コロナ禍で、対面からオンライン研修に切り替えたことで、遠方の人も参加しやすくなり、これまでは参加がなかった地域からの申し込みもあります。

 小学校も中学校も学習内容が多く、「勇者の旅」用に全10回分の授業枠を確保するのは大変ですが、各学校が総合的な学習の時間や学級活動、保健体育などの枠を利用して捻出してくださっています。

■保護者向けのプログラムも作りたい

 子どもの不安を予防するには教育現場だけではなく、「保護者」の理解や協力も欠かせません。学校不適応や不登校などと関連しているだけに、学校の先生からすると「保護者にこそこういうことを知ってほしい」と思っているのではないでしょうか。しかし親世代は心の健康を学ぶ機会がないまま育ってきているので、理解してもらうのはとても難しい。保護者を対象にした「勇者の育て方プログラム」という学習教材も作りたいと考えていますが、いろいろな保護者がいてターゲットが絞りにくいうえに、保護者はなかなか学校に来ないので、直接的な介入ができないんですね。

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コロナ禍で不安を感じる子が増えている