
黒田慶樹さんが自宅に引きこもっていたのでは、いつまでも騒ぎがおさまらない。総務課長は、黒田さん側にこう交渉した。
「メディアの気がすむように、すこしでいいから本人が顔を出してくれないか」
報道陣にも、本人がこれだけは対応するからあとは引いて欲しいと伝えた。
黒田さんはマンションの敷地に顔を出し、やや緊張しながらも笑顔をみせた。 突き出されたマイクやカメラを前に、ミニ「会見」が行われた。
紀宮さまという内親王の結婚報道。お相手の黒田さん側と宮内庁、そして報道の間に、ある程度の信頼関係があり、連携がうまくいったケースだ。
実際、当時の朝日新聞は、婚約内定のスクープを出すにあたり、紀宮さまの気持ちを傷つけないよう、また黒田家に迷惑をかけないよう細心の注意を払っていたという。黒田さんの職場や自宅に報道陣が殺到することを考慮し、勤務のない日曜日を選ぶなどした。そうした配慮は、黒田家にも伝わった。記事を出す前日に、黒田家周辺から、「配慮に感謝申し上げ、ありがたく思っています」とのメッセージが担当記者に伝えられたという。
眞子さまの結婚問題で議論が白熱したのは、”内親王にふさわしいお相手であるか”という点だった。
過去の内親王や女王など皇族女性のお相手は、格式のある家柄であるという意識が、国民の側にもあったからだ。
だが「紀宮さま」の結婚で、黒田慶樹さんが特段、”ふさわしいお相手”として認識されていた訳でもなかった。取材した人物は、こう話す。
「黒田さんが内親王に”ふさわしいお相手”であったかと言われれば、特段そういう訳でもなかった。学習院初等科からの秋篠宮さまの同級生ではある。しかし、ご本人は都庁職員といういち地方公務員で、ごく平凡な市民。親縁をたどれば旧華族がいるとはいえ、それもあとから分かった話だった」
当時の新聞には、「皇女が普通の市民と結婚するのははじめてのこと」と書かれた。