
「せっかく薬を服用しても、元のままの生活を続けていたのでは十分な効果が期待できません。日常生活を見直し、食生活の乱れを整えることが大切です。そうしないと、たとえ服薬で良くなっても、薬をやめればまたすぐに再発してしまいます」
食生活では、カロリーの高いもの、脂の多いものを食べすぎないこと、腹八分目に抑え過食を避けることが第一だ。高カロリー・高脂肪の食事は胃酸が多く分泌され、過食で満腹になれば胃が張って下部食道括約筋が緩み、共に逆流しやすくなるし、肥満にもなりやすい。食後すぐに横になることや、遅い時間の夕食を避けることも大切だ。
このほか、食道裂孔ヘルニアがある場合には、腹腔鏡手術による治療をおこなう場合もある。東京慈恵会医科大学病院上部消化管外科の矢野文章医師は言う。
「明らかな食道裂孔ヘルニアがあって、薬を飲んでもつらい症状が取れなかったり、薬をやめるとすぐに再発・悪化するため、薬を飲み続けなければならないような人には、手術による治療をお勧めしています。食道裂孔ヘルニアによる逆流は高齢者に多く、90歳を超えている人も増えています」
食道裂孔ヘルニアの手術は、横隔膜の上にせり上がった胃を下に戻し、広がった食道裂孔を縫い縮めて食道に胃の一部を巻き付けるという方法で、所要時間は一般的に2~3時間ほどだ。
■薬が効かない場合は専門の病院で検査を
また現在、内視鏡治療で胃と食道の接合部を狭めて逆流を防ぐ、新しい治療の臨床研究が始まっている。からだの負担がより少ない内視鏡治療によって逆流を防ぐことで、薬の量や服薬の期間を減らす効果が期待できるという。
胃食道逆流症のうち、実際に食道に炎症が起きている逆流性食道炎では、4~8週間の服薬と生活改善で、症状がなくなったり軽くなる人がほとんどだ。しかし、明らかな炎症がないにもかかわらず症状を感じる非びらん性胃食道逆流症の場合、服薬の効果がほとんどなく症状が継続することも少なくない。