※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 胃酸が胃から食道に逆流し、胸焼けなどの不快な症状を起こす胃食道逆流症は、近年患者数が増加している。症状がひどくなると生活に支障が出たり、炎症部分にがんが発症したりすることもあるため、早めの治療が大切だ。

【データ】胃食道逆流症のかかりやすい年代は?主な症状は?

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 胸焼けとは、みぞおちの辺りから上に向かって、焼けるように熱い感じがあることを表す。胃酸が食道に逆流することで感じる、胃食道逆流症の典型的な症状の一つだ。

 胃食道逆流症は、胃酸によって食道に炎症(びらんや潰瘍)が起きて症状が出る逆流性食道炎と、明らかな炎症はないものの同様の症状が出る非びらん性胃食道逆流症の二つに分けられる。炎症があるかどうか、どの程度の炎症かは、内視鏡検査で調べることができる。炎症を繰り返す場合には、食道の粘膜が胃の粘膜に置き換わってしまい(バレット粘膜)、その部分からがんを発症することもあるので注意が必要だ。

 胃食道逆流症の症状には、食後の胸焼けのほか喉の辺りやゲップをしたときなどに苦みや酸っぱさを感じる呑酸、さらに胸痛や喉の違和感、長引く咳などがある。

 近年患者が増えている原因としては、高脂質・高カロリーの食事が増えたことや、ピロリ菌の除菌が進み若年層ではピロリ菌の感染者も少ないことから、胃が健康な人が増えて胃酸の分泌が活発になったことなどが考えられている。

■主な治療方法は服薬と生活改善

 また本来は横隔膜の下にある胃が、食道が通っている穴から上にせり上がってしまう食道裂孔ヘルニアも胃酸が逆流する原因になる。胃と食道の間の下部食道括約筋が緩みがちになる高齢者や、肥満があり内臓脂肪によって胃が圧迫されるような人に多い。

 胃食道逆流症の主な治療方法は、服薬と生活改善である。薬は胃酸の分泌を抑える薬が使用されることが多い。また胃酸を中和したり刺激を抑えたりする薬や漢方薬、抗不安薬なども使われる。初期治療では、これらの薬を4~8週間服用するとともに、食生活を中心とした生活改善をおこなう。愛知医科大学病院消化管内科の春日井邦夫医師は次のように話す。

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