■経験でできるように

――収録曲のひとつで、奥田が手掛けた「ロックンローラーのバラード」には波の音やカモメの鳴き声が使われている。

奥田:イントロや間奏でやることが思い浮かばなくて(笑)。

手島:俺ギターソロ弾いたけど、「なんか違うわ!」って言われて、「そうか~い」って。そうしたら、やっぱり消されてた(笑)。

奥田・川西:あははは。

手島:若い頃だったら、そこで「なんでやなんでや!」とかごねそうなものなんですけど、もうそういうのもないんですよ。

川西:「お邪魔しました!」と言って、さっと去るよね(笑)。

奥田:若い頃に意識していた、「きちんといい音で録らなければいけない」ということより、偶然性やアドリブ性の方が今は好きなんですよね。何かをみっちり考えて決めてもあまり意味がない、ということが経験として増えてくる。その場でポンッて考えたことが、よい/悪いというより、「その日、そうだった」みたいな。そのほうが後で聴いても楽しかったりするし、ライブもその日だけのものじゃないですか。

 ライブとレコーディングがだんだんくっついてきた感じがあります。若いうちは、「これをやれ」と言われても準備が必要だったりしたけど、経験によってできるようになったことがたくさんある。

手島:好き勝手やればいいっていうもんじゃない、ベテランバンドならではの自由さってあるんですよね。だんだん生き方が狭まってきたかと思いきや、逆に広がってるんです。

――2009年の再始動から、コンスタントに活動を続けている。

奥田:「100万枚売れ」とか誰にも言われないし、自分たち自身にもそういう気持ちが微塵もない(笑)。だから、余計なことを考えずにやりやすいし、ある程度形もある。阿部(ABEDON)も言っていたけど、ユニコーンは微妙な売れ方をしたのが、ちょうどよかったんですよ。

手島:売れに売れているのにそんなにお金が入ってこなくて、写真撮られて叩かれるポジションだと、割に合わんなあと思うわけですよ。でも僕らは、普段は割と普通に扱われて、ライブに出ていくとお客さんが喜んでくれる。最高だと思ってます。ただ、活動してるところが3Aだと厳しいものがあるので、メジャーリーグにいないと、とは思っていますね。

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