記者会見の会場へ入る小室圭さんと眞子さん(C)朝日新聞社
記者会見の会場へ入る小室圭さんと眞子さん(C)朝日新聞社

 最高裁は9年前、「PTSDの惹起は刑法にいう傷害にあたる」という判決を下した。その後、PTSDを惹き起こした被疑者を傷害罪で有罪とした判決がいくつも出ている。つまり眞子さまは傷害事件の被害者なのだ。前代未聞のゆゆしいできごとである。

 しかし、お二人の今後について、私は心配していない。なによりも4年近くに及んだ誹謗中傷の嵐に耐えた芯の強さ、お互いの信頼の深さに感心するからだ。

 眞子さまが皇族である間は、名誉棄損罪が成立しない特例である「公益を図る目的」「公共の利害に関する事実」を盾にして、メディアやネットが群がり続けた。しかし、眞子さまは今や一市民である。メディアは「公益」「公共の利害」を振りかざすことが難しくなり、群がりにくくなる。ネットの騒ぎも潮が引くだろう。

 菊栄親睦会という団体がある。戦後、昭和天皇の弟である3宮家を除く11宮家が臣籍降下する際、皇族と旧皇族の親睦を図るためにつくられた。結婚して皇室を離れた元内親王は旧皇族扱いであり、紀宮(黒田清子さん)と黒田慶樹さん夫妻も正会員だ。会の親睦行事だけでなく、宮中晩さん会などの公的な行事で賓客の接遇をお手伝いすることもあった。

 眞子さまと小室圭さんも元内親王および配偶者として会員になる資格があり、「だから二人は一市民となっても皇室の公的な行事に参加するはずだ」という意見が散見される。しかし、お二人は日本を出て、ニューヨークで暮らすことが決まっている。わざわざ帰国して皇室行事に参加することなど考えられない。

 時事通信によると、ニューヨーク州の弁護士会が学生を対象に募集したビジネス法についての論文コンペで、小室さんが優勝した。前回のコンペでも2位に入賞したという。小室さんはビジネス関係の弁護士がひしめくニューヨークでも仕事の足場を固め、眞子さまとの生活を守っていけるだろう。

◆皇室が直面する難問とは?

 私が心配するのは、むしろ皇室の存続だ。もともと危ぶまれていたことだが、今回の事件で危機が助長されるのではないか。

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皇室が直面する難問とは?