三つ目は、心臓の四つの部屋の出口にある弁が狭くなったり、閉まりが悪くなったりして心臓に負担がかかる心臓弁膜症を患った場合だ。

 そして、四つ目は、心臓の筋肉の収縮が悪くなる心筋症と言われる病気など、心臓の筋肉自体の病気を患った場合だ。

心臓病の治療の後、次の病気が起こらないように2次予防をきちんとして、心臓の状態を安定させられれば、心不全を防ぐことが可能です」(同)

 とはいうものの、一度心臓病を患った人は、徐々に心臓の機能が悪くなっていくことが多く、基本的には、悪化を防ぐために薬物療法などで病気を管理しながら一生付き合っていくことになるという。

「心臓病にかかったことがある人は、心不全にならないように予防をし、すでに心不全を起こしている人は、悪化、重症化しないように治療を続けることが大切です」(同)

 心不全の症状は、図に示したとおり、心臓から拍出される血液量(心拍出量)の低下による症状と、うっ血による症状がある。血圧が下がる、疲れやすい、歩くと息苦しい、足がむくむ、夜間寝ていると息が苦しくなるといったことが主な症状だ。

「心不全の症状が表れて、病院を受診したら心臓の病気が見つかるというケースもあります。このようなケースでは、急に悪くなって救急車で運ばれるようなこともあります。これが急性心不全です。心筋梗塞などの冠動脈疾患や弁膜症、心筋症などの心臓病が原因です」

 そう話すのは、国立循環器病研究センター病院心不全科部長の泉知里医師だ。

■慢性心不全の急性増悪に注意

 一度、心臓の病気になった人や、病気にまで至っていないが、生活習慣病の基礎疾患があり、動脈硬化の心配がある人の場合は、将来の心不全発症に十分注意するべきだ。

「慢性心不全は、薬の治療などで管理して、日常生活を送れる状況ですが、徐々に悪くなっていって、急性増悪という急速に悪化する段階に入ってしまうこともあります。このような場合も急性心不全と同じような状態に陥ります。急性心不全と言われる症例の4分の3程度はこの慢性心不全の急性増悪です。そうすると入退院を繰り返すようになり、どんどん心不全が進行して重症心不全に至ってしまうこともあります」(泉医師)

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