テレビでクイズを目にしない日はない。日々の楽しみとして、また「認知症予防に」と取り組んでいる方も多いだろう。東大卒のクイズプレーヤー・伊沢拓司さん(27)と、将棋界でも無類のクイズ好きで知られる森内俊之九段(51)の対談が実現。頭の体操だけじゃない「クイズの奥深さ」とは!?

伊沢拓司さん(左)、森内俊之さん(撮影/写真部・高野楓菜)
伊沢拓司さん(左)、森内俊之さん(撮影/写真部・高野楓菜)
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森内:伊沢さんの著書『クイズ思考の解体』(朝日新聞出版)は素晴らしいですね。戦後のラジオ番組「話の泉」から、1980~90年代のクイズ番組ブーム、平成の「Qさま!!」まで、日本のクイズの歴史に加えて、早押しクイズの方法論など専門的な内容もある。クイズファンも一般の人の興味も惹きつけると思います。

伊沢:ありがとうございます。「クイズは独立した文化である」と示したくて書きましたが、思いを詰め込んで相当に分厚くなってしまいました(笑)。クイズの世界でも森内さんのお話は常々伺っておりますが、いつからクイズを始められたのですか?

森内:家族がクイズ好きで、小さいころから「タイムショック」や「クイズグランプリ」などを見ていました。自分でもやってみたいと思ったのは、すでに棋士として活動をしていた89年の「第13回アメリカ横断ウルトラクイズ」がきっかけです。

伊沢:長戸勇人さんが優勝した伝説の回ですね。

森内:準決勝で残った4人全員が大学のクイズ研究会関係の人でレベルが高くてなかなか勝負がつかなかった。その世界にすっかり魅了されまして、クイズ研究会に入って勉強を始めたんです。

伊沢:そして2005年に「パネルクイズアタック25」で優勝されました。海外旅行を獲得したのに、名人戦と日程が重なって旅行に行けなかった──という話は有名です。

森内:あのときの海外旅行はタイトル戦と重なって行けなかった訳ではないんですけれどね(笑)。

 クイズは生活に根付いていて、あらゆることが問題になるのがおもしろい。私は勉強が伊沢さんほど得意でなかったのですが、クイズで知識を得ることの楽しさを知りました。それに将棋とクイズは共通点も多い。伊沢さんの本で、早押しクイズもただ押せばいいというものではなくリスクやリターンを計算してかけひきを行っているという記述があり、なるほどと思いました。まさに将棋の勝負に通じるところがある。

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