「自民党の教育に関する公約を見ると、『10兆円規模の大学ファンドを実現』などと書かれている。大学を強く意識しており、大学生にまで目を配っていない様子が伺えます」(岡さん)
さらに岡さんは、自民党のホームページ(HP)にも、党の意識の「ズレ」がみえるという。党のHPには「やさしい政策シリーズ」のタイトルで、党が注力する、子どもなどに関連した政策を紹介するページがある。
「このページでは『ダイヤル189』(児童相談所虐待対応ダイヤル)や『学校施設の耐震化』が紹介されています。いずれも大切な政策ですが、以前から取り組まれていることで、いま訴えることはそれなのかと、強い疑問が生じる。子どもに寄り添っていることを宣伝したいのでしょうが、逆に課題認識の甘さを表しています」
他方で、公明党や野党の公約には、授業料の無償化や返済不要の奨学金の拡充などの施策が並ぶ。
末冨教授は「学生に一番優しいのは共産の政策。日本では奨学金の返済を減免する仕組みについて議論が少ないが、様々な条件を考えるきっかけを与えている」と評価する。例えば、「大学・短大・専門学校の学費を半分にし、無償化を目指す。給付奨学金を充実させ、入学金制度を廃止」「『自宅4万円、自宅外8万円』の給付奨学金を75万人が利用できる制度をつくる。全ての奨学金を無利子に。奨学金返済が困難になった場合の減免制度をつくる」などだ。
どの政党が課題解決に取り組んでくれそうか。そしてそれらの政策に実現性はあるのか。よく吟味して投票したい。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)