●とんでもない空白を、今後どう力に変えていくか

しいたけ. あと2020年って、多くの人たちがやっぱり目安の年にしてきたと思うんですよね。一つの区切りにしようみたいな感じで。

岩田 まさに三代目JSBは2020年が10周年で。2年ぐらい前からそこに向けて準備してきたのに、それがうやむやになっちゃって。じゃあ1年後ろに倒してそこで完結しましょうっていうわけにもいかない。その1年で変わったものが大きくて。2020年がそれまで通りに動いてたら、今の僕はもう違う職業になってたかもしれないし、このプロジェクトを動かすマインドになっていなかったかもしれないって思うんです。うちはライブ事務所だから、ライブが完全復活にほど遠い今の状況は、なかなか厳しい状況もあって。状況が変わりすぎちゃって、どうやって食っていくかをゼロから考えないといけなかった。

しいたけ. 今の状況ってみんな、本当は2020年にこれをやるつもりだったっていう、とんでもない空白と鬱憤がたまってる。でも物事って悪いことだけじゃないから。鬱憤はネガティブなものだけど、今後時間を動かしていくときに、この空白の1年を、鬱憤をどう使っていくのか。僕はそこに興味と楽しみもあって。自分が「これから先何をしていかなければいけないのか」と聞かれたときに、具体的なことはまだ全然わかんなくても、なんとなくもがきながら答えていけそうな気がするっていうか。僕の肌感覚だけど上の人たちはあまり答えを持っていないようにも見える。別に鬱憤の力をその人たちを責めるのに使いたいわけではなくて、「もう甘えちゃいけないんだな」と思うし、あと「自分で答えを出していっていいんだな」って思えるんですよね。

岩田 会社に入ってから今までは、枠組みの中で会社からもらった仕事を引き受けてやる、1を大きくしていく作業だったんです。それが初めてゼロを1にする、自分の行動でアウトプットまですることができた。失敗の可能性も大きいと思います。でも初めて自分が責任者として請け負うプロジェクトが動き出して、新鮮だしやりがいも感じる。コロナがなかったら多分なかったから、不思議だなぁって。

しいたけ. あともうひとつ。やっぱり僕は「人」が鍵だなと思っていて。人と会えないことがこれほどまでもダメージになると思わなかった。「何かやりたいんだよね」っていう時に「面白そうじゃん、それ」って言ってくれる太鼓持ちって絶対必要(笑)。

岩田 確かに必要ですね。それで動けることもあるから。

○いわた・たかのり/1989年生まれ、愛知県出身。EXILE、三代目 J SOUL BROTHERSのパフォーマー活動を中心に、俳優業、CM出演等、各方面で活動。

○しいたけ./占い師。作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。週刊誌AERAで「午後3時のしいたけ.相談室」連載中。著書に『みんなのしいたけ.相談室』『しいたけ.の小さな開運BOOK』など。

(構成/編集部・高橋有紀)

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