堤:贅沢をさせてもらいました。冒頭、小さなドローンが松本(潤)くんの手のひらを飛び立つ。その演出だけは最初からやりたかった。ライブでドローンを飛ばすのは簡単ではないんですよ。お客さん全員が、撮影のためのライブだと納得して来ているからこそできたことです。松本くんは直前まで、「俺、自信ない」ってずっと言ってたけど。

櫻井:彼は心配性だから(笑)。

堤:彼は演出家でもあるから、「失敗したら、撮り直します」と宣言していた。一発でうまくいって本当に良かったです(笑)。

――カメラマンの多くは、過去に嵐と仕事をしたことのあるスタッフだった。ドームを埋める5万2千人の観客は、「映像を撮影するためのライブ」とだけ聞かされ、集っていた。会場は「嵐のために最高のものを作ろう」という一体感と、熱気に満ちていた。

■まさにドームが揺れた

櫻井:「ピカ☆ンチ」とか、僕でいうと「ヤッターマン」とか他にもいろんな作品でご一緒した方がいて。あちこちで「え、なんでここにいるの! 来てくれたの!?」みたいな喜びがあった。終始、温かい気持ちでした。

堤:身内感があるから距離も近い。そうなると撮れる映像も変わりますから、それは狙っていました。

櫻井:また、お客さんがね、ものすごい熱気なんですよ。1曲目、僕らが出てきた瞬間から……。

堤:まさに「ドームが揺れる」ってやつでしたね。

櫻井:コール&レスポンスも、僕が100煽ったら150返ってくる。そうなるとこっちもつられて150煽る。そしたら300返ってくる。倍々ゲームみたいに高まって。僕らはあくまで他の50公演と同じように臨んだつもりだけど、お客さんの熱さで、結果的にパフォーマンスが引き上げられたのはあるかもしれないです。

堤:僕はブルペンに“ベース”を作っていた。すべてのカメラの映像が映し出されるモニターが壁のように並んで、モニターを凝視しながら、一人、にんまりしていました(笑)。

櫻井:とてつもない“壁”でしたよね。YMOもビックリの。

堤:松本くんには「絶対、全部は見えない」とツッコまれたけど、見えてるんですよ、これが。

――膨大な素材がある分、どの映像を使うか、編集には膨大な時間がかかった。一秒一秒選りすぐられた映像を「パズルのように紡いだ」(堤監督)というが、一番見せたかったものがある。

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