AERA 2021年11月15日号より
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 米国IT株メインの「ナスダック100」の値動きを2倍に増幅させた投資信託で一獲千金を狙う“民”がいる。上昇相場は幸せだが、その逆はどうなるか。AERA 2021年11月15日号で取材した。

【図】レバナスに「2000年1月から」積み立てたら暴落時は?

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 米国株の勢い、止まらず。この上げ相場で、ある特殊な投資信託を使い、大儲(もう)けを狙う人がいる。通称“レバナス民”だ。

 年収400万~500万円の会社員が「入金力、入金力」と唱えながら生活を切り詰め、毎月5万円、10万円と積み立てる姿も珍しくない。

 レバナス民の“武器”は「ナスダック100」という指数の値動きを2~3倍にふくらませる「特殊型(ブル・ベア型)」という区分の投資信託である。そもそもナスダック100は、米国ナスダック市場に上場する代表的な100銘柄で構成される。検索大手グーグル(アルファベット)やアップルなどGAFAMと呼ばれるIT関連株の比率がS&P500と比べて高いのが特徴だ。このナスダック100に、株価指数先物を使いレバレッジ(てこ)を利かせ、値動きを増幅させたのが「レバレッジナスダック100」の投信。略して“レバナス”である。

■効率よく儲けたい欲

 米国株投資といえばS&P500指数が定番だ。公的年金のような機関投資家もS&P500採用企業の株をまとめて買う。つみたてNISA(少額投資非課税制度)で一番人気の「eMAXIS Slim米国株式」もS&P500に連動しており、純資産総額は7458億円(11月1日)に到達。

 一部の投資家は考えた。米国の強烈な株高の原動力がGAFAMなどのIT株なら、よりIT株の比率が高い投資信託を買ったほうが効率よく儲けられるのでは?

 投資家の欲は際限ない。ナスダック100の値動きを2倍、3倍に拡大した投資信託なら、もっと儲かるのでは──。こうしたニーズに応えたのが「iFreeレバレッジ NASDAQ100」である。この投信はナスダック100の2倍程度の値動きをするよう設計されている。過去に実例はないが、ナスダック100が一夜にして2倍になったら、レバナスの値段は4倍になる。逆にナスダック100が一夜で半分になれば、レバナスは4分の1になる。

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