AERA 2021年11月15日号より
AERA 2021年11月15日号より

■真のリスクはどこに

“武器”というより“両刃の剣”なわけだが、現在、iFreeレバレッジ NASDAQ100は好調だ。直近1年のトータルリターンはS&P500が約40%、レバナスは約60%で純資産総額は1500億円前後まで伸びた。レバレッジの投資信託で1千億円乗せは驚異的だ。

 レバナスの性質を、ここ数年で参入したビギナーが正しく理解しているかどうかは怪しい。誤解のもとは「2倍」「3倍」の値動きが“前日と比べた数値”であること。金融情報会社QUICKの本吉亮(あきら)さんにレバナスの値動きの特徴を検証してもらった。

 上昇一辺倒、下落一辺倒だとまだわかりやすい。レバナス1万円分が40日間、毎日10%ずつ上昇し続けると1469万円に。10%ずつ下落し続けると1円、ほぼゲームオーバーだ。では、10%高と10%安を各20回ずつ繰り返したら? 同率の上げ下げなので、なんとなく“プラマイゼロ”のイメージがあるが、レバナスの場合は40日後に1万円の元本が4420円と半分以下になってしまう。

「初日、1万円の10%下落で9千円ですね。翌日は『9千円の10%上昇』となるので9900円。元本1万円が100円、減っています。こうして少しずつ目減りするわけです」

 つまりレバナスは下落相場に弱いのは当然として、横ばいの相場も苦手なのである。

 金融庁は今年6月30日、レバレッジ型の金融商品に関する注意喚起文を発表した。つみたてNISAの対象からも、レバレッジの投資信託は外されている。(経済ジャーナリスト・大場宏明、編集部・中島晶子)

AERA 2021年11月15日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。「AERA」とアエラ増刊「AERA Money」の編集担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などの経済関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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