加賀まりこ [撮影/小山幸佑、ヘアメイク/野村博史、スタイリスト/飯田聡子、衣装協力/KEI Hayama PLUS]
加賀まりこ [撮影/小山幸佑、ヘアメイク/野村博史、スタイリスト/飯田聡子、衣装協力/KEI Hayama PLUS]
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 ベテラン俳優として、長く活躍する加賀まりこさんが作家・林真理子さんとの対談に登場。若いころの思い出からファンだったあの文豪の話まで、マリコさんが迫ります。

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ギャラは半分以下 加賀まりこが“地味な作品”に出演する理由】より続く

*  *  *

林:加賀さんは「麻雀放浪記」(1984年)にお出になってましたね。和田誠さんの監督第1作の。

加賀:そうです。和田さんはその前に私の叔父の、信田(富夫)さんが社長をやってた会社に勤めてらして……。

林:えっ! ほんとですか。ライトパブリシティ(広告制作会社)ですね。

加賀:私が学校の帰りにときどき信田さんのところに行って、「ねえ叔父さん、なんかバイトできない?」とか言うと、「じゃ、屋上で写真撮ろう。おい、篠山!」って。そのとき篠山(紀信)さんは早崎(治・写真家)さんについてたのね。それで写真撮ってもらって、それがどこかのチラシか何かになって、3千円ぐらいもらって帰ってきたり。

林:へぇ~、すごい話。そんなことがあったんですか。

加賀:まだ素人のころね。私はニッコリ笑うのが下手で、秋山(庄太郎)先生が週刊誌の表紙で素人のお嬢さんを撮ってて、そのときも「ほんとにキミは笑えない子だね。でも、にらみつけてるその顔がいい」って。媚びることがイヤだったのね。媚びてると思われるのもイヤだし。

林:前にここに出ていただいたとき(2007年)も昔のことをお聞きしましたけど、加賀さんは「過去のことには興味ないのよ」ってどこかでおっしゃってますね。

加賀:うん、そうね。一分一秒過去のことだから興味ない。

林:でも、文豪と言われる川端康成や三島由紀夫からあんなに愛されたということは、今や“史実”として皆さんが聞きたいところだと思いますよ。

加賀:そう? 名前言ってもわかんない人がいるんじゃないかな(笑)。川端先生は単なる私のファンだったってことよね。私が「雪国」で葉子の役をやったころから撮影所によくいらして、じーっと私だけ見てるの。床に座って見るような新宿の芝居小屋に、私が出てると来てくださって、あの方、肉がないから、私、車から自分のクッション持ってきて「これを敷いてください」みたいなこともあって。手数がかかりますよね、ああいうファンの人は(笑)。

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