加賀:日本のものをつくる社会って、おばあさんに冷たいですよ。70代後半でもイキイキきれいな人が多いのに、そういうことをテーマにはつくらないじゃない? 「誰々のおばあちゃん」でしょ。年とった女性に対する考え方が画一的すぎよね。みんなこんなに元気なのに。
林:私もほんとにそう思います。加賀さんも、家族の脇役のおばあさんは、もしオファーが来てもやめていただきたいと思います。
加賀:でも、わかんないわよ。今度のこの映画が遺作かもしれないし(笑)。
林:何をおっしゃいます!
(構成/本誌・直木詩帆 編集協力/一木俊雄)
加賀まりこ(かが・まりこ)/1943年、東京都出身。「涙を、獅子のたて髪に」(62年)で映画デビュー。「泥の河」「陽炎座」(ともに81年)でキネマ旬報助演女優賞受賞。「麻雀放浪記」(84年)など映画を中心に活躍するほか、劇団四季の「オンディーヌ」にも出演。映画、舞台、ドラマなどで幅広く活躍。近年の映画出演作に「スープ・オペラ」(2010年)、「神様のカルテ」(11年)など。自閉症の息子を持つ占師を演じる、54年ぶりの主演映画「梅切らぬバカ」の公開が今月12日に控える。
※週刊朝日 2021年11月19日号より抜粋