ミッツ・マングローブ
ミッツ・マングローブ
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 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、「森田剛さん」について。

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 V6のラストコンサートに行ってきました。最近よく「○○ガチャ」という言葉を見聞きしますが、ジャニーズのグループも言ってみれば「ガチャ」です。どのグループに選別・選抜されるかは、本人たちの意志とは別の力に委ねられており、それによってグループの運命はおろか、彼らの人生も大きく変わります。時代や順番の巡り合わせもしかり。たった2、3年の差でデビューできなかった人、デビューできても波に乗り切れなかった人たちは数知れず、です。

 しかしV6のデビューは、そんな「グループガチャ」の定説を覆すものでした。一度はデビューを諦め就職したメンバーもいる年長組、ジャニーズJr.をほとんど通っていない岡田准一さん、何より三宅健さんが「剛(森田剛さん)が入らないなら自分も入らない」とジャニーさんに言い放ち、森田さんのグループ加入が決まったというエピソードは、ファンの間では語り草です。改めて「運命以上の運命」で選ばれた6人なのだと感じたステージでした。今週はかなり文章が臭くなりがちで気持ち悪いかもしれませんが、ファンというのは得てして気持ち悪い生き物故、お許し頂きたく。

 何はともあれ素晴らしいコンサートでした。叙情や感傷に頼り過ぎず、これで終わるとは思えないぐらい「現在進行形のV6」を見せつけてくれました。本来ならば「ヤダー!」とか「やめないでー!」といった阿鼻絶叫が飛び交い、号泣しながら合唱する女性ファンが続出するはずも、客席はいっさい声を上げず。ひたすら手拍子と拍手が響き、ペンライトやうちわが揺れていた2時間半。そして私は森田剛に釘付けでした。「ジャニーズアイドル森田剛」としての最後の姿を、この目に焼き付けられるだけ焼き付けていたと言った方が正しいかもしれません。

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