小さい頃から現在に至るまで、ありとあらゆるジャニーズを観てきた私にとって、森田剛という男は別格です。それまでは「かっこいい」「眩しい」存在だったジャニーズに対し、初めて「かわいい!」という感情を抱かせた人物であると同時に、自分が「年下好き」だと知るきっかけになった男でもあります。言わば私の恋愛価値観や性的嗜好の象徴。
もうひとつ。彼は「無理に笑わない」初めてのジャニーズでした。例えば男闘呼組のように「あえて笑わない」ジャニーズはいましたが、あの「埼玉の団地からそのまま出てきました」的な、いっさいの飾り付けや調教が施されていないリアリティはただただ鮮烈で、20歳だった私の胸を見事に撃ち抜きました。カミングアウト前のときめきや興奮というのは、ゲイにとって「一生もの」です。
そんな森田剛が歌い踊る姿を、私は必死に追いかけました。天才的な体捌きとリズム感。彼だけに授けられた歌声。最後の1小節、最後の1カウントまで、やはり森田剛は後にも先にも二度と現れないであろう「アイドル」でした。そしてその才能と魅力がこれほどまでに活かされたのは、彼がV6に選ばれたからにほかなりません。
てなことを本人に伝える勇気など最後までなかったので、書きました。初めて言います。私は「森田剛推し」でした。
ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する
※週刊朝日 2021年11月19日号