宇随天元のてっさ

 代表的なフグ料理と言えば、「てっちり」と「てっさ」でしょうか?

 この「てっちり」と「てっさ」という言葉は、関西の方言なんですね。

 実はくら寿司でも、12月3日から「鬼滅の刃」とのコラボメニューとして、「宇随天元の愛した『てっさ』」を販売予定です。すると、鬼滅の刃ファンの方から「『てっさ』って何かと思ったら『ふぐ刺し』のことだった」というコメントが多く寄せられています。

 関西ではフグのことを「鉄砲(当たると死ぬので)」と呼んでいて、「てっぽうのちり鍋→てっちり」、「てっぽうの刺身→てっさ」ということのようです。

 くら寿司で販売している「極み熟成ふぐジュレポン酢」は、フグの女王と呼ばれる「真フグ」を使用したお寿司。「何とも言えない歯ごたえがクセになる」と最近人気が急上昇しているメニューなんです。

 さらにフグには、地方によって、さまざまな面白い呼び名があるようです。

 筆者の実家のあたりでは、ナゴヤ(身の終わり=美濃・尾張)と呼んでいる人がいたような気がします。また、長崎県の一部のガンバ(棺桶を意味するがん箱から?)や、千葉県の銚子あたりでは、トミ(めったに当たらないから)など、いずれも毒にまつわる呼称が多いようですね。

 そして冬に美味しい魚の3つ目は、「ボラ」です。

ボラの寿司

「ボラなんか食べられないやろ!」とか「臭くてとても食べられない!」とおっしゃる方も多いと思います。しかし、河口付近ではなく、沖に生息しているボラは、独特の臭みもなく、身もプリプリとしてとても美味しいんです。

 江戸時代には、ボラはタイやヒラメ並みの高級魚として人気だったようです。確かに、江戸時代には、まだ河川もきれいだったので、河口のボラも臭みもなく美味しかったんだと思います。

 そんなボラですが、冬になると餌をたっぷり食べて、脂をしっかり蓄えています。中でも脂がまぶたにまでまわり、目が白濁しているものは、特に脂乗りが良くて美味とのことです。

 ボラを使った料理としては、卵巣を乾燥させたカラスミが有名です。先ほど言った通り、身の方もプリプリとした食感で、非常に美味しいです。

 くら寿司でも、時期によっては、ボラのお寿司を販売していますので、ぜひ一度チャレンジしてみてください。

 他にも冬に美味しくなる魚はたくさんありますが、また別の機会に紹介させていただきます。皆さんのお薦めの冬の魚は何でしょうか?

○岡本浩之
おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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