浅田美代子 (撮影/写真部・高橋奈緒)
浅田美代子 (撮影/写真部・高橋奈緒)

浅田:そう。電話に出たうちの母親が私に「吉田先生から電話よ」って。なんか違う作曲家か作詞家と間違えたらしくて(笑)。

林:吉田正先生とか(笑)。

浅田:「みんなといるんだけど、来ない?」って言われて、親も吉田先生だと思ってるから、行かせてくれたんですよね。

林:あのころ彼は若者の教祖だったし、カッコよかったもんね。

浅田:でも、テレビに出ない人だったから、彼のラジオ番組にゲストで呼ばれるまで、私は知らなかったんです。LPを何枚か彼からいただいて、「ああ、いい歌を歌ってるんだな」と思ったの。

林:世間知らずの美代子の心をつかむのは簡単だったのね(笑)。

浅田:アイドルみたいなことをしてたから、マネジャーさんが行きも帰りもベッタリで、うちまで送り届けてくれて、誰ともつき合うチャンスがなかったのに、それを破った人だったんですよね。

林:それで21歳のときに結婚して、専業主婦してたの?

浅田:うん。私はドラマとかお芝居やりたかったんだけど、彼がイヤがったので。

林:そうだったんだ。そのあと離婚して、それがいくつのとき?

浅田:28のとき。

林:それから今までずっと切れ目なく仕事を続けてるってすごいですよね。

浅田:出戻った1本目がTBSの「金曜ドラマ」なんです。プロデューサーとかディレクターが「時間ですよ」のときの人たちで、昔から知ってたから、それで始めたんですよね。そして今まできちゃったという感じ。

林:「30代は、寝ても覚めても恋をしていた」って本に書いてあるけど、再婚しようとは思わなかったの?

浅田:結婚を持ち出されるとイヤになっちゃったの。一回失敗してるから、もう結婚はいいやと思って。21で結婚して、同年代の友達みたいにディスコに行ったりお酒飲んだりとかできなかったから、離婚してからは遊びまくってました。30代が青春でしたね。

林:みんなにつくられた「となりの美代ちゃん」のイメージが、そのころちょっと重荷になった?

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