落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「新監督」。
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「日本ハムの新監督に新庄剛志氏」。新庄氏の監督就任で、来年の『サンデーモーニング』の張本さんがますます楽しみ。2022年もまだまだ「喝」の乱れ打ち、期待してます。今年はいろいろあったからね、ハリさんも。「ビッグボス」とハリさんなら良い勝負になることうけあいでしょう。
落語家はみな頭のなかに『監督』を「雇って」います。この監督しだいで、日々の生活から高座の出来不出来が決まります。基本的に全て独りでやる仕事ですから、一生懸命やるもサボるも自分しだい。指示出すのも実行するのも、称賛されるのも罵倒されるのも自分。いわば脳内に監督兼GMが居て、己の身体がプレーヤー。
私も毎年新年に新監督を迎えます。我が球団(私)は常に1年契約。今年の監督(私)は昨年のコロナ禍の惨状を踏まえて、「現状維持」「安定した数字」「無理はしない」をスローガンに掲げてやってきました。来年は球団創立(芸歴)21年。ファイターズを見習って、ひとつ世間にどデカいインパクトを与える新監督(私)を招きたい……と言っても、落語に関しては正直これ以上手の施しようがないし、1年契約の監督にどうこうしようがないのです。その場その場でプレーヤー(私)が勝手に動く場合が多いので、毎年どの監督(私)も「お前ら(私)の好きにしろや」という感じ。とりあえず新監督(私)には選手たち(私)の生活面の厳しい管理をお願いしましょう。
こまめな身体のメンテナンスは厳しくしたい。体調管理、マッサージ、人間ドック、歯の検診、歯を磨く、舌苔の掃除、もっと言うとお風呂でちゃんと身体を洗う、耳かきをし過ぎない、爪を噛まない、オデキを引っ掻かない、家飲みもほどほどにして2日に1回の休肝日をつくる、妻の目を盗んで濃いめに割らない、「もう寝る寝る」と言いつつこっそりもう一杯飲まない、地方に仕事に行って魚卵や乾物ばかり土産に買わない、尿酸値を下げる薬に頼らない。「尿酸値を下げる薬は無限にお酒を飲んでいい魔法のクスリ!」とか言わない、二日酔いの翌日に苦し紛れにカツカレーを食べない、家族のいない昼食にペヤングソースやきそばの横にご飯をよそって食べない。