逢坂誠二氏
逢坂誠二氏

◆民主党政権の顔 今でもボス支配

 松井氏からは、今回の代表選はどのように見えたのか。

「当時の民主党も政権批判はしましたが、子供を社会全体で育てる『チルドレン・ファースト』や公共事業のあり方を問い直す『コンクリートから人へ』など、選挙前から自民とは違う政策の旗印を掲げていました。政権獲得には、穏健保守や若い世代の期待を集める政党になる必要があるからです。その点では、代表選を通じて幅広い層に向けて『立憲民主党は何を大切にする政党なのか』のメッセージは伝わってきませんでした」

 17年に誕生した立憲民主党は今、崩壊の危機にある。その原因は、党内の安定を重視するあまり、硬直化した組織運営にもあった。若手立憲議員は言う。

「枝野執行部では、主要人事の多くは民主党政権を担った人たち。顔ぶれが一緒の『メリーゴーラウンド人事』と批判されても変わらなかった」

 新代表に待ち受ける最初の難関は、人事の刷新になりそうだ。

「立憲では民主党政権を担った人たちの影響力が強いから、誰が代表になっても党の立て直しは難しい。新代表は参院選までのリリーフで、その後にまた新しい代表になるかもしれない」(若手立憲議員)

 立憲に対する世間の目は厳しい。党内ではすでに「共産党の色が強くなった立憲民主党はもう無理だ。党名を民主党に戻したほうがいい」との声も出ている。

 立憲民主党は、これからも過去の失敗を重ねるだけの政党になるのか。「過去に学ばない者は、過ちを繰り返す」という言葉があるが、今はその分水嶺にある。(本誌・西岡千史)

週刊朝日  2021年12月10日号

暮らしとモノ班 for promotion
なかなか始められない”英語”学習。まずは形から入るのもアリ!?