ウオッカに乗る武豊騎手。2008年天皇賞(秋)のレースで、ダイワスカーレットとの激戦を制した。(写真:倉元一浩)
ウオッカに乗る武豊騎手。2008年天皇賞(秋)のレースで、ダイワスカーレットとの激戦を制した。(写真:倉元一浩)

ウマ娘の立ち上げ当時、僕も「何か協力できることがあれば」ということで少し関わらせていただいたのですが、実は最初に話を聞いた時は、あまりピンとこなかったんです(笑)。馬がアニメのキャラクターになって、女の子が競馬場を駆けるというのは想像がつかなかったし、最初に登場キャラの絵を見たときは、なんだか不思議な感じでした(笑)。自分が乗ってきた馬ですから、擬人化したキャラと同一視するにはなかなか時間がかかりましたね。

――実際の馬の特徴が、キャラの能力や性格に反映されているところもウマ娘の魅力ですね。

かつてライバル同士だった馬が作中のストーリーでもライバルとして扱われていたり、馬の個性が細部まで表現されていたりして、さすがだなと思いました。たとえばウオッカだと、寝つきが良いといった特徴まで再現されていて、面白い。おそらくですが、実際にウマ娘のコンテンツを作っている方たちは、若い頃に競馬を楽しんでいて、知っている馬たちを遊び心たっぷりに、そして細かいところまで再現してくれたのでしょう。競馬愛を感じます。

――作中では、武さんが騎乗してきた馬も多数登場します。

立ち上げのときも「実際どういう馬でしたか」といったことを聞かれて、スペシャルウィークなど、馬について少し情報をお伝えさせていただきました。ウマ娘のおかげで僕自身も、「ああいう馬だったな、こういう馬だったな」と、過去に乗ってきた馬たちに思いを馳せることができました。たとえば、僕がたくさん乗ってきたバンブーメモリー(作中では風紀委員長を務め、直球勝負のレースを見せる)は30年以上前に活躍していた馬ですし、懐かしさを感じます。そして、サイレンススズカは足を骨折した1998年の天皇賞(秋)のレースを最後に活躍が止まってしまったので、それがウマ娘の姿でよみがえってくれたのは、僕としてはとてもうれしいです。

――武さん自身も、アニメ第5話に実況として登場します。

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「コラボイベント」への前向きな気持ち