■わかりにくい算出方法
都教委は不受験者の「仮結果」の算出方法を公開している。「2月の英語学力検査(筆記試験+リスニング)の点数が『同じ点』あるいは『前後の点』の、『他の受験生のグレード点の平均値』で求める」というが、非常にわかりにくい。
松井氏によると、「同得点の者が10人以上いれば、その平均値を求める」のが都教委の基本方針だという。では、10人に満たない場合はどうするのか。
その場合は「同点者を除き、上下1点刻みで5人以上となるよう、対象者を拡大していく」という。例えば表の例では、ESAT-J不受験者の英語学力検査の得点が75点で、上下にそれぞれ対象者を拡大している。この場合、「仮結果」算出の対象となる生徒の平均点は75.09点となり、不受験者本人の得点とほぼ同じとなる。
しかし不受験者が99点を取った場合、本人よりも下位の得点の生徒が「仮結果」算出の主な対象となる可能性が高い。つまり自分より下位にいる生徒の点数を基準として「仮結果」が算出されることになってしまう。
とはいえ、頑張ってESAT-Jで高得点をとった受験生もいる。もし、その結果を入試に反映させないとしたら、その子たちがかわいそうということにはならないだろうか。
表の中で、不受験者より下位に位置しているAを獲得した生徒に注目すると、不受験者にAが付与されたことで、この子たちが不受験者を超える見込みがなくなったのがわかる。さらに、不受験者より上位に位置するBの子は全て、不受験者より順位が下がってしまうのだ。グレード点は4点刻みのため、「英語学力検査」の2点差では、不受験者に逆転されてしまうという。松井氏は言う。
「不受験者のグレード点を押し上げたのは、他ならぬ『頑張った子』たちです。『頑張った子がかわいそう』という指摘は、ESAT-Jの結果を入試に反映させた場合にも起こり得ます」
■最大で16位の入れ替え
このような「逆転現象」は上位層だけで起こるわけではない。
「頑張ったというと、高得点の子ばかりをイメージするかもしれません。しかしこれはあらゆる得点帯で起こり得ることです」
松井氏によると、順位の変動が大きい学校があるという。