オミクロン株の感染拡大で、12月9日、大阪で開幕予定だったフィギュアスケート・グランプリファイナルの中止が決まった。11月29日に外国人の入国が一時停止されたことから判断がなされたようだ。
世界のトップ選手が集う大会だけに、ファンの嘆きは大きい。「ネイサン・チェン選手は、北京五輪以降はイェール大での学業優先を口にしています。日本で彼の試合を見ることが出来るのは、これが最後のチャンス。中止は本当に悲しい」(同選手のファン)
選手たちにとっても、1戦分休養できるという気楽な話ではない。かねてから「試合の(規模の)大小は関係ない」と公言している宇野昌磨だ
が、今季の充実ぶりをこの大舞台でさらに印象付けたいところだった。新鋭の鍵山優真にしても、シリーズ二戦連勝で権利を得たファイナル出場の意義は大きい。
ロシア女子に囲まれた坂本花織も、今後の戦略を固める上でも実戦に臨みたかった。坂本の場合、新プログラム導入時には、試合数が多い方が好結果につながる傾向もある。いまや彼女の代名詞である「マトリックス」は、初年度かなりの苦戦を強いられたが、実戦を重ねて磨き上げた。今季の新プログラム「WOMEN」も、試合ごとに解像度が増しているところだ。このタイミングでの中止は残念だろう。
「出ておきたかった」のは、今季大躍進のペア、りくりゅうこと三浦璃来・木原龍一も同様だ。アメリカ大会で銀メダルを獲得した時には、「もっともっと名を売りたい」と胸を張っていた木原。結成3年目でのファイナル進出とあって、ジャッジにも世間にも大きくアピールしたかった。
ペアの三浦・木原は、カナダを拠点としている。今回、五輪で適用されたアスリートトラック(入国に関する特例)が使えないとの情報もある。全日本に向けてのスケジュールについて、マネジメントを担当するIMGに訊ねてみたが、「現在調整中のためお話しできる事がございません」とのことだった。
開催に懸念がなかったわけではない。今回の出場予定選手は7カ国から36人。コーチ・関係者をふくめ、172人が海外から入国する予定だった。新型コロナウイルスへの対応は、各国で大きく違う。