配合剤で症状を抑えられるようになってきたら、発作を予防する目的の吸入ステロイド薬単剤に変える。ぜんそくの治療は、この吸入ステロイド薬の継続がカギとなる。
「自覚症状がなくても炎症は残っているので、1日2回(薬の種類によっては1日1回)の服薬を、症状がなくなった後も続ける必要があります。炎症が残っていると症状は必ずまた出てきます」(同)
薬の吸引には吸入器を使用するが、スプレー式で噴射される「エアゾールタイプ」と、粉末の薬を自分で吸い込む「ドライパウダータイプ」に大別される。エアゾールタイプは薬の噴射と吸い込むタイミングを合わせる必要がある。一方ドライパウダータイプは、自分で吸い込む力が必要だ。
「吸入薬は毎日、そして長期間続けることが大事なので、好みで選ぶのがいいと思います。薬は30%程度吸えればいいように設計されていますが、効果を得られない場合、正しく吸えていない可能性があります」(同)
正しい方法で吸えているのに症状が抑えられない場合は、長時間作用性抗コリン薬やロイコトリエン拮抗薬などの内服薬を追加する。
こうした治療でもよくならない重症患者に対する治療として、09年から次々登場しているのが、注射薬の生物学的製剤だ。アレルギー反応の進行を抑える作用があり、現在4種類が使用できる。
「従来は重症の人に対して経口ステロイド薬が使われていましたが、長期服用は骨粗しょう症などの副作用が問題となります。生物学的製剤は経口ステロイド薬に比べて副作用が少なく、効果的で、今後も新しい薬が登場する予定です」(同)
重症患者に対しては、15年に保険適用となった「気管支熱形成術(サーモプラスティ)」という治療もある。気道の分厚くなった筋肉(平滑筋)を高周波で加熱して筋肉量を減らす方法で、数日間入院し、3週間あけて3回の治療が必要になる。アレルギーの関与が認められず、生物学的製剤が効きにくいタイプの人に向いている。